高等部3年生の後期定期テストが済んだ娘はその出来はともかく高校生活最後の時間をノビノビと楽しんでいるようです。
このテストが大学の学部選考に一番大きく影響するのだと言って睡眠時間も惜しんで取り組んでいたのだが、『難しかった〜! 全然だめ〜!』と言い『もうこれで第一志望は無理。もっとしっかりやっておくんだった〜!参った〜!』なんて反省していたのはたった一日。
「今週はこれで、来週は誰とどこへ」と遊びのプランニングに余念が無い。
気楽なもんです・・・・!
そんな中、今回の試験の結果を振り返る会話の中であの学校の伝統となっている“校長作文”という課題の話がなかなかユニークで面白かった。
試験の最終日、最後の課題なんだそうだが、校長があるテーマを与え、そのテーマに沿った作文を全員が書き上げ提出してテストが終了となるんだそうだ。
数日後、試験の採点が各自に戻り、その結果を各人が確認したあと、これで何度目かという学部志望を第1志望から第6志望まで改めて提出することになっている。これまで何度も提出しているのだが、言ってみれば自分自身のこれまでの成績と今回のテストの結果を踏まえ改めて志望学部を申告しなさいということなんでしょう。
そして、そのあとに待っているのが“校長面談”という一大行事なんだそうだ。
その面談の際、校長が生徒一人一人の人間性を知るうえで重要なアイテムとなのるがこの“校長作文”なんだという。
でもって「今回のテーマは何だったんだ?」と聞くと、『心のふるさと』だという。
そのテーマ自体は「ふ〜ん」なのだが、そのテキストがなかなかユニークだったんだそうだ。
簡単に言うと、
寅 「おお、さくら。 じゃあ俺は出掛けるからな。 達者でな・・・!」
さくら「にいちゃん。辛くなったらいつもでも帰って来ていいからね!」 とご存知、寅次郎と妹さくらのある作品の台本がそのまま書かれていたんだという。
そして、
寅:「俺にゃあ、けえるとこなんざねえのさ・・・」
さくら:「いつになってもここは兄ちゃんとあたし達のふるさとだからね!」
とつづき、「さてあなたの“心のこころのふるさと”は?」だったんだそうです。
ほんとにあの学校・あの校長らしいと笑ってしまったのだが、それに対する娘の回答の話を聞き、これまた久し振りに大笑いしてしまった。
大半が東京育ちの生徒達で、祖父母も東京という子ども達が多いので、我が娘はみんなが何を書くか想像したんだと言う。そしてきっと今回クラスの全員が必死で取り組み素晴らしい思い出を作ることが出来た
文化祭の出し物「STOMP」を取り上げる仲間が多いだろうと読んだんだそうだ。
それなら、と親友と呼べる友達何人かの顔が浮かび、彼女達のことを書こうとしたがそれとて同じような発想をする仲間がいる筈、だったら自分は誰も知らない、誰も書かないであろう自分の小学校時代の思い出を、と発想したんだという。
この辺りがどうも親父に似て天邪鬼で目立ちたがりなんでしょうね。
娘が選んだ思い出の場所(こころのふるさと)は、なんとボクらが毎週末駆けずり回り、汗をかいたあと車座になってビールを楽しんでいる小学校横の公園(グラウンド)だという。
聞くと小学校3年生で(本来は4年生からしか参加出来ない)初めて子ども会のソフトボール大会に出場し、ライトを守っていた時、たまたま飛んできた飛球を練習ではほとんどキャッチ出来ていなかったのに、大事な場面でキャッチ出来、チームのメンバーや子供会の親達から万雷の喝采を浴びたの物凄く嬉しく忘れられない。だからあのグラウンドが自分の心のふるさとです、なんてかなりドラマチックに綴ったんだそうだ・・・(笑)
家人づてに聞きビールを飲みながら大笑いしていたのだが、笑いながらもオヤジは熱いものがこみ上げ来てしまった。
その頃はボクも毎週毎週ドロドロになりながら、こんな子ども達に大声出してコーチしていたし母親達も一緒になって大勢の子ども達の面倒を見ていた。
もちろん娘がその飛球を捕り、嬉々としてベンチに帰って来たシーンは鮮明に覚えているし、その満面の笑みもありありと思い出せる。
やっぱり我が娘、根っからの体育会のようです(笑)