ボクが最も夏を感じるのはやっぱりこれですかね『谷中生姜』。
先日もパブリックビューイングをした近所の定食屋さん(僕らの溜り場、泥だらけのユニフォームでも入れてくれる・・笑)にも当然この季節になると置かれている。必ずビアジョッキみたいな器に水に浸して・・・。
やっぱりこれに味噌を付けて齧る。もう夏のビールにはこれ以外考えられないくらい僕にとっての『夏味』。それに併せて「朝どりのきゅうり」を短冊に切って、同じお味噌をチョイっとつけてかぶりつく、至極のひとときです(笑)。
最近はより美味しくなんて思ってチョットばかり手を加える。味噌そのものだと多少味噌の塩辛さなんかを感じるので、それをまろやかにして食している。小さめのすり鉢に味噌を入れ、そこに砂糖・みりん・酒・お酢を少々入れ一緒にゴリゴリ、見事まろやかなお味噌になります(写真)。きゅうりを食べる場合は更に最初味噌を入れる前に根生姜を少しおろしておく、これはちょっと大人の味かな。
関東の農家で育った僕などは子供の頃から何の疑問も無く食べていた訳で、どこにでもあって当然の食材だった。これって別に特別高価でも希少なものでも無い訳で、日本全国どこに行ってもあるものだと思っていたのだが、実は去年の今頃生まれて初めての発見をした。
関西勤務になって近所の居酒屋で愚痴を言っていた『どうしてどこにも谷中生姜が置いて無いんだ? この季節メニューに無いなんて信じられん!』とか言って・・・・。でもホントに無いんですね、関西には。“谷中生姜”と言っても誰も『そんのもん聞いたこともアラヘ〜ン!』とか言われる。
ある暑い夏の日のランチどき、北新地で入ったお店が“関東風”天麩羅屋さんだったので、そこのお姉さんに聞いて見る。
知らないっていうんですよね、それを聞きつけたご主人が出てきて応えてくれたところによると「市場にはある。お店で出してる所は高級料亭くらいじゃないですかねえ〜」だと言う。その話を神戸の行きつけのお店のお母さんにしてみたらやっぱり同じような答えだった。いつもの常連さんに聞いても同じ。ショックだったなあ〜(ってそれ程のモンでも無いのだが・・笑)あれが食べれないなんて夏のビールが美味しく飲めない〜!みたいな感じで。
近所のスーパーなんかを覗いて見ても当然影も形も無く、東京の自宅に戻った時は自分でスーパーに行ってよく買い求めていた。
夏の終わりの頃だったか、東京から同僚が大阪出張で来るというので「頼みがある谷中生姜を買って来てくれ!」とやった。本人は「なんで谷中生姜?」なんて驚いていたのだが押しの強さで有無を言わせず買ってこさせた(笑)それを関西支社のメンバーに食べさせたんですねえ。『さあ、これを食ってみろ、これが夏の味だあ〜!』みたいな感じで・・。
ところがその同僚が買ってきたのが正直もう季節外れでただ辛いだけだった(失敗)みんなもう二度と食べてくれないだろうなあ。
聞いてみたらなんと東京駅の大丸デパートで買ったらしい。郊外のスーパーとかなら1束100円ぐらいのが季節外れだったらしく3倍くらいしたというのに・・・(笑)
ビールのお供にコリコリ頬張りながらそんなことを思い出してしまった“谷中生姜”でした。
“しょうがおろし”をするのが「根しょうが」この谷中生姜はいわゆる「葉しょうが」ですね。根から3〜4センチくらい育ったあまり太くないのが美味しいですよ。
経験ない方は是非お試し下さい、夏を感じること請け合いです。
ご参考⇒「
これが本物の谷中生姜」 「
植物事典」「
静岡旬の歳時記」