前早稲田大学ラグビー部監督 清宮克幸著
『最強のコーチング』
早稲田を卒業後サントリーに入社し、営業を数年経験した後早稲田ラグビー部からのオファーを受け監督に就任した清宮氏。
就任一年目で対抗戦グループを全勝優勝、2年後には大学選手権でも優勝に導き、2006年2月の日本選手権では学生チームとして18年振りに社会人チームに勝利したという経歴の持ち主で、その後その勝利を花道に監督を辞した。
実はその18年前の勝利というのも彼が大学2年生の時に達成していた。
そして現サントリーラグビー部監督
ちょっとカッコ良過ぎである(笑)
自身も高校からラグビーをはじめ高校2年の時には高校全日本のキャプテンを経験。早稲田入学後は1年からレギュラー入り、そのまま4年生でキャプテン、サントリー入社後も即戦力となって活躍し、なんと3年目で自ら志願しキャプテンを務めた。
サントリーのキャプテンとしては苦い経験(本人は挫折といっている)もしているしいが、大学の監督となってからは様々な改革を推し進め伝統の早稲田ラグビーを誰もが認める強豪チームに仕立て上げていく過程でのノウハウ、所謂マネジメントのなんたるかを自信たっぷりに語っている。
氏がそこで強調しているのが“社会人時代の営業経験があったからこそ”成し得たという。でもって、この監督時代に自分が実践したノウハウ・スキルはビジネス社会でも充分役立つ筈だと・・・・。
まあたしかに、これだけの実績を残した訳でその論理は説得力もあるし、誰もが否定はしないだろう。
というか、言ってることって何もかもが「なるほど・・・」なのだ。
いま様々な場面で社会人経験者を教育の現場に、みたいなプロジェクトが立ち上がっている。私が知っている限りその走りは元リクルートのフェローで杉並区の公立中学校校長に就いた藤原氏なんだろうか・・?
ある中央紙でも2年ほど前だったか、シリーズでそのドキュメンタリーを取り上げていたっけ・・。私もそれ以前に藤原氏とは仕事でご一緒したことがあるが、その時から教育についてはかなり熱く語っていた記憶があり、その公立中学校でも次から次へと改革を打ち出していたようだった。
たしかに一般社会での経験則から得られるノウハウとかは教育現場とかスポーツの現場とかでその世界だけしか経験の無い人たちの輪の中に入るとチョット異質なんだんろう。
本当に改革をしようとしたら、今の時代どんな世界であろうとその異文化を持ち込むことが必要なのかもしれない。
話を戻すと、清宮氏が取組んだ改革は興味深いものが多く、それまで毎日5〜6時間やっていた練習を2時間以上限定にしたとか、ただ伝統に守られて行ってきた練習方法にデータシートによる分析を持ち込んだりとか、現場から見るとかなり異質で抵抗がある手法だったようだ。
その中で特に興味深かったのは、マネジメントの手法の一つとしての“場の提供”というものだった。AチームからD・Eチームまである早稲田の中で選手のコンディションや意識の低下があった時などかなり頻繁に入替えをしたりとか、大事な試合に強豪チームをわざと招待して緊張感を持たせると同時にその強豪チームの前で圧倒的な強さを見せつけさせたり、海外から強豪チームを招いて交流戦をさせたりとか・・・。
所謂選手側にステージを作ってあげたり、体験させたりというこの場の提供が選手の意識改革にはかなり有効に作用したという。
う〜ん、納得。
それはマネジメントにとって重要な役割だよな。よく仕事の場などで現場の要望を聞くと『我々が仕事しやすい場をつくってください』なんて自分も言ってきたし、部下からも言われますからね・・。
そんな中でもボクが今回異常に共鳴してしまったフレーズ
『監督の仕事は盆栽をつくるよなものだといつも私は譬えて言う。(中略)選手たちをまず同じ方向に向かわせねばならない。枝振りを右に向かわせるか左にそろえるか、これが監督の仕事である。こうして同じ方向に選手たちが走り出して初めて個性を見極めることになるのだ。一定以上のレベルに達していない選手の個性を大切にするということは無い。』
考えさせられました。 かなり再確認することが多くありました。
ただやっぱりこの男カッコよすぎ。何事も自信たっぷりに言いすぎ・・・(笑)
そんなことを書こうとしていたら今夜のNHK教育TV
「トップランナー」
またまたこの清宮氏が自信たっぷりに語ってました。
あ〜あ、どうしても僻んじゃうな〜! でもお勉強になりました。