昨夜マーケティングセミナーに参加してきた。
期待した以上に有意義な内容で趣味の領域でもあった為、とても充実した時間であった。
こういう機会に恵まれたことに感謝したい。
内容は『26番目の選手と共に』昨年飛躍的な躍進を遂げた
「千葉ロッテマリーンズ」のマーケティング戦略の紹介だったが、低迷する企業・組織の改革の話であり、いまの自分が置かれた環境に相似しており非常に興味深かった。
昨年NHKを初め各マスコミがドキュメンタリーとして取り上げ、大まかに知識があったものの、その中心となり完全に黒子で現場を牽引していた本人の生の声は説得力がある。
もともとプロ野球の球団はオーナー企業からみれば宣伝広告の一環として位置づけられており、企業イメージアップと同時にその経費は「税金対策」として捕らえていた側面があった。
とはいえ、もちろん営業収入が上がることに越したことは無いが、もし収支が赤字になったとしても親会社としては「損金」扱いになる為、大した痛手は蒙らなくて済むのである。
そんなスキームで成り立っているからか万年最下位で、スタンドの客席がガラガラで一般の人から見れば「なぜ?」と思われる状況にあったとしてもなかなか改革のメスを入れようとしないというのが実情だった訳だ。
今回の彼らのプロジェクトが手を入れたのがその意識の改革だったのだ。
まずは球団を「野球界」という独特の世界から「野球業界」という実業の世界へと変革させようとした。だから競争意識を持たねば生き残れない、エンターテイメントなんだからお客様に楽しんでもらわなくればならない。よってまず第一にお客様を大事にしよう・・・というところから球団首脳の意識改革に乗り出したのだという。
仮に優勝したとしても4割の試合は負ける。その負け試合を見に来てくれたファンにも楽しんで帰ってもらえる策はないか・・・? みたいなところにまで真剣に取り組んだ。その発想の発端はライバルでもあり地域密着を掲げていたJリーグにあったようだ。プロ野球チームでそこまでの取り組みをしたのは球界初だろう。
そこから生まれたのが、年間を通して展開した数々のファンサービスだったという。その結果、2004年がピークだったという過去の入場料収入の記録を昨年はなんとシーズンスタートから2ヶ月の6月に達成したというのだ。
各企業が頭では解っていてもなかなか達成できない“意識改革”
もちろん反対勢力の抵抗も大きく、大変な苦労もあったことだろうが、それを熱い意思で成し遂げた彼らの成果に拍手を送りたい。
印象的だったのは試合前や5回終了時にフィールドにファンを入れるという球界にとっては突飛ともいえるアトラクションや、選手の方からスタンドに入って行う「サイン会」、そして大きな話題を振りまいた3回のヒーローインタビュー。
通常ならいわゆる“お立ち台”に上がっての1回きりのインタビューで終わるのだが、マリーンズではその後に応援席の前まで行ってのファンに向かっての挨拶が1回、さらに球場の外に設けた特設ステージでの挨拶が1回。
とにかくファンがあってこその球団の想いを選手・フロントが一体となって成し遂げたのだ。
また休日のデイゲームでは試合開始の2〜3時間目から球場の外にはお祭りスペースが設けられ、屋台ありゲームコーナーありで早いファンは午前9時頃には球場に足を運ぶのだそうだ。彼らの狙いはファンを如何に長時間滞留してもらうかにテーマに様々な施策を講じたようなのだ。
とにかく1〜10まで、選手会もフロントも“カスタマーオリエンテッド”に徹したということのようだ。例で挙げたサイン会やインタビューも実はフロントサイドからは「選手にそこまでの負担は・・・」ということで抵抗があったらしいのだが、逆に選手会が「面白いからやってみよう」という声が上がり実現したというのだ。
もうなにからなにまで異例ずくめの1年で球団・選手会・ファンが一体となって日本一を勝ち取った訳で、スタッフの苦労も最高の形で締めくくれたいうことだろう。
ここまでの意識改革、完全に脱帽ってところです。
因みにQ&Aで成功要因のひとつに挙げていた一言は耳が痛かった。
「今回の我々のプロジェクトでは広告代理店を一切使わず、すべて自前でやったんですよ」だって・・・(笑)
いづれにしても楽しく、有意義なセミナーだった。
それにしても、ボクの『スポーツに拘わっていられる仕事がしたい』という、もうすでに手遅れになっている夢がまた一瞬頭を擡げてしまった時間だった(笑)